「乳幼児とやりとり」の動画集

 乳幼児とのやりとり、もっともよく使われる言い方では「サーブ・アンド・リターン serve and return」(たとえば、ハーバード大学発達センターのこのページ。翻訳ソフトのカメラをかざすなどしてお読みください)。実際の様子は、いくつかの有名な動画で見ることができます。どれも、SNSに載っている短いものです。

 まずこちらの動画2つ。生後7週のサラちゃんに I love you と言っているお母さん(Facebook)。サラちゃんも口を動かして声を出そうとしているのがわかります。もうひとつの動画(Facebook)ではお母さんとお父さんが歌を歌っています。サラちゃんも一緒に口を動かしています。時期としてはおとなの目を中心に見ているのですが、実際には口も見ていて、その動きと聞こえる音に合った行動をしようとしています(目の前で、いつも自分に向かって話しかけているおとなの顔ですから、動いている所は真剣に見るのでしょう)。生後2か月の子どもも懸命に真似をして、やりとりをしようとしているのです。


 こちらのお父さん(X。旧Twitter。動画は解説文の下にあります)、やりとりをしながら笑っている赤ちゃんの顔をお母さんに見せて「ほら、見て、見て」と言った後、You love me? (僕を愛してる?)と赤ちゃんに聞いてます。で、赤ちゃんがバブバブと返事したのを聞き、さらに、高い高いをして赤ちゃんがきゃっきゃと大喜びしているのを見て、泣きだしたのです、I love you. と言いながら。こうした経験が保護者の脳、内分泌系に影響して、この人を「お父さん」に育てていきます。(『子ども育ての本』、160ページ)


 やりとりを続けると、赤ちゃんはどんどんしゃべります! この赤ちゃんの話(Facebook)をよくよく聞いてください。赤ちゃんはお母さんのアクセントをすっかり吸収しているのです(『子ども育ての本』、122ページ)。かつ、お母さんの表情と同じ表情をしている。真面目な顔には真面目な顔、笑うと、笑う(お母さんも赤ちゃんの表情を真似している)。このアクセントは、英国のリバプール周辺の英語だそう。「なんで寝ないの? ミルクも飲んだし、寝ようよ」と説得するお母さんに対して、赤ちゃんは断固、やだ!と反論。もちろん、ジブリッシュ gibberish(意味のない言葉の羅列)です。だけど、アクセントやイントネーションはばっちり!


 とても有名なのは、コメディアンのDJ Pryorさんと2歳のKingstonくん(Facebook)。テレビを見ながら会話中。意味をほぼなさない言葉ですが、おとなが受け止めて応えれば、話はどんどん続き、子どもはどんどん話します。見ての通り、「対話」になっているのです。DJ Pryorさんは「そう、そう」「君の言う通りだよ」「僕たち、考え方がそっくりだな」等々と応えています(「なに?」「わからない」等とは言っていません)。


 これも「やりとり」の一種(Facebook)。お母さんのくしゃみのふりに、ひたすら笑っています! 赤ちゃんは「くりかえし」が大好き。くりかえすやりとりが少しずつ、赤ちゃんの脳に吸収されていきます。


(2025/1/12)